《インフルエンザの診断及び治療について》

 
診  断
風邪の症状の中で特に全身症状が強く、高熱(38〜40℃)、筋肉痛、関節痛、のどの痛み、無気力などを来たします。

確定診断には迅速診断キットを用います。
綿棒で鼻水をとり、試薬に溶かして反応をしらべます。

発症後、12時間以内ではウイルス量が少なく感度が下がります。
24時間以降になると検出率が良くなります。

インフルエンザウイルスの量は、2〜3日後(48〜72時間後)に最もウイルス量が多くなり、5〜7日で消失しますが、お薬の効果はウイルス量が少ないほど良いので、早めの治療が大切なのです。

A型、B型の区別もできます。
陽性であれば大体インフルエンザと診断していいのですが、陰性の場合はインフルエンザでないとは言えません。
診断キットも完全なものではないので注意が必要です。


治  療
インフルエンザの治療薬として、一般にノイラミニダーゼ阻害薬 (商品名 : タミフル、リレンザ) が使用されています。
発症後48時間以内に服用した場合、効果が証明されています。
罹病期間の短縮及び病気の重症化を抑える作用があります。


高熱の場合、対症療法として解熱剤が使われることがあります。
  • 15歳未満の子供には、インフルエンザ脳症や重篤な全身症状を起こし、命にかかわることもあり、厚生労働省は使用を見合わせるよう勧告しています。

    例外的に、アセトアミノフェン (商品名 : アンヒバ座薬、アルビニー座薬、カロナール) は安全とされています。

  • 15歳以上の患者さんの場合も、インフルエンザ脳症・脳炎を併発した場合は、それを悪化させることがあります。

    代表的なものが、アスピリンなどのサリチル酸系解熱鎮痛薬、ジクロフェナクナトリウム (商品名 : ボルタレンなど)、 メフェナム酸 (商品名 : ポンタールなど) です。

一般的に、市販の解熱鎮痛薬の中には、アスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛成分を含んだものもあるので、服用に際しては主治医と良く相談することが大切です。

基本的には発熱のあった場合、すぐに解熱剤を投与するよりは、まず物理的に冷やすこと、水分の補給や安静が勧められます。


タミフルカプセルに予防投与が追加
インフルエンザの季節に、何人か予防のためにタミフルを飲みたいのだがという問い合わせがあります。
もっともなことで高齢者・病気の人・受験生などからの希望が多い。

2004年に予防適応が追加されました。

《予防対象》
  1. 65歳以上の高齢者

  2. その他のハイリスク疾患患者 (13歳以上)
 健康な成人と13歳未満の小児は対象外となります。


《処方期間》

 インフルエンザにかかった同居者と接触後2日以内に、タミフル75を1カプセル、 7〜10日間予防投与する。
 但し、この費用は保険外である。


ハイリスク疾患患者とは

  1. 慢性呼吸器疾患患者

  2. 心疾患患者・糖尿病などの代謝性疾患患者・腎機能障害患者

1日1回 7日間投与した場合の発症抑制率は90%で、医学的には有効であるが、タミフルには3割の耐性株が生ずるとの報告があり、気になるところだ。

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